2009年4月26日日曜日

増水の辛口の瀬を下る:那珂川上流の那須高原を下る

奮冷めやらぬとはまさにこの事でしょう。那須高原から自宅に戻り既に二日も経ちますが、いまだに余韻が残響のように残り五感を刺激します。流量、流速、水位、透明感、川相、そしてリバーバディー、すべて良しの絶好のコンディションでした。国内で下った川の中では間違いなくベスト3にランクインする素晴らしい川です。増水時の山梨県桂川の核心部クラスの瀬がいくつかあり、それとは別にこの区間の核心部が3つ、4つあります。(関西の川を知り尽くしたラナパパの印象は、長良川のどかんの瀬の増水状態並との事です。)当日の水量では難度は相当高いと思います。メンバーのレベルを揃えてしっかりしたレスキュー体制を整えチャレンジするか、この区間をガイド出来るアウトフィッター、カエルアドベンチャーさんのツアーに参加するのがいいと思います。



恐らく平常水位の倍ぐらい増水しているのですが、水が濁ってません。増水しても濁らない川って凄いですよね。


珂川上流、那須地区からのダウンリバーは実は以前からラナパパと攻略をずっと狙っていました。那珂川というと、有名ななかよしキャンプグラウンド周辺の緩やかな流れを一般的にはイメージしますが、上流部はなかなかのテクニカルコースとの話で、冬の間コツコツと情報収集していました。この区間は基本的には水位が低く、また水位を測るポイントもなく、下流の黒羽の水位を参考に増水しなければ下れない区間というのが定説となっています。



今年に入ってから特に気にかけて水位を見ていましたが、当然ながら冬はなかなか増水しません。ラナパパと話す度に那珂川上流アタックの話になりますが、なかなか機会に恵まれませんでした。しかし那珂川那須地区アタックの機会はついにやってきました。昨日 土曜日は終日雨が降り、普段70cm程度しかない黒羽の水位も130cmに届く勢いでした。天気予報では日曜日は曇りのち晴れ。否が応でも期待は高まります。今だから告白しますが、実は前日は興奮して眠れませんでした。それぐらい期待の高い川でした。



当日の朝 は自宅を出るときは曇っていましたが、天気予報によると曇りのち晴れ。気にする必要は全くありません。ルンルンで那須高原に向かって車を走らせました。現地に着き、ダウンリバーし 始めるころには雨も上がって、快晴の中でチャレンジ出来ると確信していました。しかし...現地についてもまだ雨が降っています。気温もかなり低く、はっきりいって寒いです。こうなると小生のモチベーションは大幅にダウンします。雨の中のパドリングだけは苦手です。嫌いなんです。気分は乗らないし、そういうブルーな小生をリバーバディーはよく見ています。Takeさんからは「雨が降っているのでActonは来ないと思った」とまで言われる始末。雨が上がるまで温泉入って昼ご飯を食べてそれから下ろうと本気で考えながら準備を進めていたら、何と突然晴れました。こうなればもう、先ほどまでのデモチべーションは一瞬にして解消され、 一気にボルテージは上がります。まるで突然元気のいいエアロビのインストラクターになった気分でした。

那須連邦の残雪。コバルトブルーの川。そして山桜。これ以上何も望む必要はありません。


とある情報によると那珂川上流那須地区の区間は最低黒羽で100cmはないと下れないそうです。(脚注注意参照) 110cmがベストで120cmになるとホールに捕まったり、ウェーブでやられたりと大変と聞いていました。ゴールの疎水公園から見た那珂川上流は黒羽の 水位が2倍になっているので、かなり増水しているはずですが、今回のパーティーは全員この区間は初めてなのでどうもピント来ません。「水が多くて下りやす そうだね」とのんきな会話をしている次第です。

*川地図はラナパパが丁寧に作っています。小生の川地図は備忘録程度です。ラナパパの川地図には足下にも及びません。ぜひラナパパの川地図を参照にしてください。

以前も書きましたが、Google Mapでriver mapを共有しようという動きがここ1年で国外で活発になってきた感があります。日本からの登録者がかつて殆どなかったplayak.comも、最近は国内の登録者が随分増えました。小生はGoogleの回し者ではありませんが、river mapは主要サイトがほぼすべてGoogle mapをベースにしていますし、Playak.comのように一つの世界地図で世界レベルでのリバーマップの共有を考えると出来ればGoogle mapで準備した方が望ましいと思われます。

日本人はどうも情報共有が苦手で、身内だけの秘密...とやりがちですが、近年衰退著しいリバースポーツ新興のためにも川地図が増えて、より安全で楽しいリバースポーツに多くの人が触れる機会が増え、業界全体が盛り上がる事を期待しています。川地図普及の賛同者が増えることを切に望んでます。


より大きな地図で 那珂川上流那須地区 を表示


ゴールの疎水公園から川上を臨んだ写真です。初めての区間ですので平常水位の状態は知る由もありませんが、直感的に明らかに増水しているように見えます。恐らく平常水位では岩の露出がもっと多いと思われます。今回は写真のとおり岩の露出が殆どありません。この距離から見る限りは流速はあるものの何の問題もないように見えてしまいます...しかし川をなめてはいけません。下り始めて直ぐに辛口、テクニカルな川であることが判明します。写真は現地到着直後。小降りになった状態を見計らって撮りました。

今回のアドレナリン全開ぶっちぎりにチャレンジした猛者はTake-sanラナ父元やん花鳥そして小生の5人のパーティーです。那珂川那須地区は全員ファーストディセンドです。この区間の情報が錯綜しており、テクニカルでクリークという話もあり、万全のレスキュー体制を整えて臨みました。



put in地点のフィッシュランドパーク下の瀬です。この岩場の終わりからいきなりレベルの高い瀬が続きます。川は真っ白、ホールは大小様々、沢山あります。川幅が広くなって一段落したと思ったらまた波に翻弄されます。ビデオカメラが衝撃でかなり揺れ動き、三脚の代わりに100均で部材を仕入れて作ったビデオカメラ固定用ポールは、衝撃で直立に耐えられず、途中でふにゃりと倒れ、そのまま気づかずに艇から引きずったまま暫く漕いでいました。


スタートしていきなりドカーンと瀬が続きます。かなりパワーのある瀬で、油断すると一気に食われそうな力強い瀬です。その後川幅が広がりますが、瀬は続きます。そして川幅が細くなりドカーンと力強い瀬に再び突入。最後は強力なストッパーウェーブです。久しぶりのアドレナリン完全放出の瀬でした。3分間に編集しましたが、フィッシュランド直後の瀬の全貌は以下のビデオで確認出来ます。


初めて下ったこの区間が増水状態ですので、平常時と比較しようがありませんが、こんな瀬がポンポン出てきます。上記ビデオの最後にあるストッパーです。


トロ場はありません。延々と瀬が続きます。


中盤のポイントです。見ての通りの激しさです。


ラナパパはこんな難度の高い増水した川でもラナを載せてケロッと下ります。


Take-さんも今日は特別に燃えていました。フィッシュランド下の瀬の次に出てくるストッパーウェーブにて。


難しいコースには必ずこの男が参上します。伝説のたけちゃんマンではありません。でも何となくたけちゃんマンに似ています。憎めない、味のある男です。現在婚活中の花鳥。


残雪が綺麗でした。


疎水公園手前の最後の難関です。カエルアドベンチャーさんのツアーで全く同じ箇所がYouTubeにアップされてますが、水量はカエルさんのツアー時点よりも多く見えます。





全員達成感のある笑みを浮かべています。いや、凄かった。閑話休題。フィッシュランドパークより上からもまだ下れそうです。これは次回の課題。どうやら参加者全員この区間の虜になったようです。我々の合い言葉は黒羽120cm。次回も黒羽で120cm越えたらまたこの区間を下っていることでしょう。6月までには間違いなくもう一度この区間を下っていると思います。(ところでこの区間は鮎釣り師さんがいらっしゃる区間でしたっけ?調べなければならないな。)


注意:この区間を何度か下っているヘタッぴカヤッカーさんから黒羽の水位について指摘を受けました。黒羽の水位でこの区間の水位を予想するのは難しいそうです。取水しており、春先のこの期間は特に灌漑用水として取水されるために黒羽の水位と疎水公園より上流の水量は必ずしも同期してないようです。写真から判断したヘタッぴカヤッカーさんによると、我々が下ったコンディションはかなり増水した状態だったらしいです。この区間はどれぐらいの水量が適量かの判断は実際に川を見て判断する以外は非常に難しいようです。


2009年4月18日土曜日

恐ろしく透明度が高い川、湯西川を2週続けて下る

週に引き続き栃木県の湯西温泉から流れる湯西川に行ってしまいました。まずはこんなに素晴らしい川を紹介してくれたカエルアドベンチャーさんには感謝です。国内では珍しい本来の意味でのアウトフィッターらしい活動をされており、今後も新たなゲレンデのツアーに個人的には大変期待しております。

本日は仙台からTetsuさんご夫婦と盟友花園氏で9時に道の駅湯西川で待ち合わせしました。Tetsuさんの奥様は昨日歯を抜かれたというお話で、運動を控えるようにというドクターの指示が出ており残念ながら本日は回送係です。しかし湯西川の川相を見て奥様の表情が変わってきたのが分かりました。こんな綺麗な川を目の前にすれば心が動きますよね。

とにかく透明感があり、綺麗なんです。光の加減でなんでしょうか。前回は小国玉川より水質は落ちると申し上げましたが、撤回します。小国玉川並の透明感です。自然に笑みもこぼれます。下の写真のように満面の笑顔の3人は、回送係のTetsuさんの奥さんに一瞬罪悪感を感じながらDRスタートです。



川幅はtake out地点に近づくにつれ広く浅くなってきますが、put in地点はこの程度の川幅です。


瀬遊び出来るスポットは多くはありませんが、見つけると皆ご覧の通り。


休憩しながら交互に瀬戸戯れました。



正面に大木が横たわってます。絵に描いたようなストレーナーです。



ここは下れませんので、右岸からポーテージ。


核心部へ続く回廊です。ポンポンポンとリズムよく落ち込んで核心部へ。


核心部の1段目のトレーと2段目のプール。画面中央の岩を中心に左右に分かれます。左のルートがお約束です。


1段目の落ち込みです。先週来た時は結構落差があったように見えたのですが、1段目は50cmぐらいでしょうか。2段目が80cmぐらいだと思います。こうして見ると片品川の堰堤下の落ち込み、ヒーローコースの方がよっぽど高さもあり、流れも複雑でした。しかしこの核心部はなめてはいけません。左側はボイルしてますし、中央はバックウォッシュしてます。勢いがないと食われそうです。

一段目のドロップです。


湯西川は名が知れ渡った川ではないので、瀬にも名前がありません。この核心部にはぜひ名前が欲しい所です。核心部が2段に分かれてポンポンと落ち込むので、カエルアドベンチャーさんに敬意を表してこの核心部を勝手にカエル飛びの瀬と命名しました。先週のブログには落ち込みの高さが上段が2m、下段が1mのような書き込みをしてましたが、今週もう一度見ると、上段、下段の高さの認識は逆で、下の方が高く、どう見ても50cm,80cm程度の高さでした。

一段目のドロップをクリア。



2段目に突入。

さて、前回はヤラレンジャーさんが核心部を目の前に「下るひとは?」と厳かにパーティーに意志を確認、パーティー10名中4名が手を挙げました。「これはもしかしてヤバイのかな?」と勘ぐってしまうような問いかけだったので、多少緊張して下りましたが、今週の核心部は先週と全く違って見え、心理的な圧迫感は殆どないまま下ることが出来ました。

小生は1段目のトップでスタック、リバースのまま落ち込むつもりでいましたが、落ち込みの手前で落ち着いて向きを変え、そのまま下れました。一方花園氏ですが、ポーテージという言葉は彼の辞書にないらしく、何の躊躇もためらいもなく下りました。花園氏は途中で狙ったルートが外れて1段目下のプールにある岩に乗り上げるという、こうなってはダメですよ、というパターンに陥ってしまいました。彼が凄いのはこの状況にも関わらず極めて冷静なんです。まだ川を下り始めて半年なんですが、緊張感とか恐怖心の自己制御に長けているようです。増水した桂川も下っているし、本当に凄いです。




あまりにも水が綺麗なので3人で泳ぎました。これは川に敬意を表し、同化するための儀式としての意味合いもあります(ウソ)。川の水は驚く程冷たいです。


水中メガネを持参してたので、川底探索。魚影を発見。


川底に写る影で水質がわかります。


湯西川は浅い川です。激しい箇所はありませんが、核心部を含め、スカウティングする必要がある多少注意しなければならないポイントがいくつかあります。しかしながら全体的には癒し系の川です。途中に禁漁区間があるためか、釣り師は多くはありません。満面の笑みを浮かべて挨拶をすればOKです。携帯は各社圏外です。道の駅でも圏外でした。道の駅で待ち合わせすることになると思いますが、途中で渋滞に巻き込まれたりして遅れてもパーティーには連絡がつきませんので、要注意です。因みに水位はこちらで調べられます。本日は先週と同じく15cmの水位でした。この水位でリジットはそのまま下れますが、ダッキーはボトムの面積が大きいので結構底を擦ります。艇から降りなければならない状況が2,3回ありました。あと10cm水位があればもう少し樂なんですが...。

今回は緊急連絡用で防水のハンディートランシーバーを持参してDRしました。トランシーバーはクリーク、秘境のDRでは必携で、レスキュー体制を整えながら下る際は本当に便利です。

さて、カエルアドベンチャーさんに教えて頂いたput in地点よりもまだ上流からもDR可能の様相です。今回回送係だったTetsuさんの奥様がさらに上流を確認してくれています。次回は湯西川温泉付近からエントリーします。


take out地点です。しかしこんなに綺麗な川下っちゃうと臭いがきつく、透明度の低い長瀞とか桂川に戻るのはかなりきついです。




より大きな地図で 湯西川 を表示

2009年4月12日日曜日

ダムに埋もれてしまう川、湯西川を下る

縁があり、カエルアドベンチャーさんの湯西川ツアーに参加してきました。首記の通り、あと2年でダムに水没してしまう川です。へたっぴカヤッカーさんのブログカエルアドベンチャーさんのブログからはコバルト色に輝く川のイメージを持っていたのですが、水質は小国玉川程ではありませんでした。しかし誤解のないように申し上げますが、とても綺麗な川です。今回は水中メガネを持参して挨拶がわりに泳いできました。御岳より綺麗ですが、光線の加減か、成分の違いか日原川よりは若干透明度が落ちる印象を受けました。



さて、湯西川ですが、険悪な箇所もなく、全体的に浅めで下りやすい川だと思います。アドレナリンレベルは高くはありませんが、景色を楽しみながら楽しく下れる美しい川です。要注意ポイントは数カ所。絵に描いたような巨木が横たわるストレーナーが一カ所。核心部は2段の落ち込み。一段目のドロップは2m程度、その下は軽くバックウォッシュ、ボイルしたトレー。このトレーは岩を挟む形で左右にルートが分かれます。そして1m程度のドロップ。核心部のポーテージは可能です。水位がもう少しあれば快適に下れる川だと思います。


心和む風景です。新緑の季節にもう一度下りたいです。



日本にはAW, Playak.comUSGSのように川関連の情報を整理し、皆で共有するという動きが残念ながらありません。ささやかではありますが、個人が出来ることとして後から行かれる人のために出来る限り川地図を準備していますが、今回は地図と記憶を辿ってみても入渓地点がどうもはっきりしません。もう一度現地確認してから川地図はupします。

お約束の道の駅で待ち合わせです。



この日は10名のパーティー。前回のツアーはヘタッぴカヤッカーさん一人の参加だったそうですが、評判を駆けつけての大人数のDRとなりました。ほぼ同年配のヘタッぴカヤッカーさん、柿の種仙人さんにもこちらで初めてお目にかかりました。



やさしい瀬が続きます。



川底が水面に投影される美しい川です。


人工の建造物は殆どなく、原始的な風景が広がります。


まったりと下ります。和みの川ですね。




さて、核心部です。柿の種仙人さんのYouTubeをポストしておきます。前半は柿の種仙人の勇姿です。最後に出てくるのが小生です。いつも思うのですが、ビデオで見るのと現地を自分の目で見るのとでは大きな違いですね。核心部をビデオで見ると迫力が伝わりません。





初公開の撮影機材です。実は湯かき棒にザクティをつけているだけです。


核心部はそれなりですが、全体的にはまったりとした良い川です。こういった新しいゲレンデを積極的に紹介しているカエルアドベンチャーさんに敬意を表したいとおもいます。