2009年7月20日月曜日

奥多摩湖のバックウォーター、山梨県丹波川Lowerを下る

多摩湖のバックウォーターであり、多摩川の源流の一つに丹波川があります。丹波川についてはあえて僕が駄文を書くまでもなく、ラナパパが素晴らしい記録を残しています。丹波川を攻略されようとする方は、ぜひ彼のブログを参考にしてください。

今回のコースも彼が残したリバーマップ上のルートと全く同じコースです。リバーランする前に彼の降下記録を読むとその緻密さには本当に敬服します。日本国内の川を100本下るという彼の目標も既に80本。80本の貴重なリバーランの記録が彼のブログに残されています。ゆったり、まったり川下りという路線ではありませんが、秘境、クリーク好きには彼の記録ほど参考になる情報はないと思います。以下は彼が公開している丹波川のリバーマップです。


より大きな地図で 丹波川(丹波山トンネル~お祭) を表示

さて、いきなり核心部の写真、ビデオから。写真左側のルートはこの水位では通れません。右側に2-3m程度のドロップがありますが、ここを降下します。

ドロップは直進は不可。着水時点で左側に艇を寄せるように落ちる必要があります。その後右90度クランクをクリアして一艇分の細い通路を通過します。ヤラレンジャーは流石に一発で艇を上手く寄せました。僕は着水してから思ったより艇が進みスタックするものの、無事通過。ポーテージは可能ですが、かなり大変。


核心部を下流から見る。


核心部を上流から撮影。


なにやら薄気味悪いゴルジュの入り口です。東京ディズニーランドのビックサンダーマウンテンのトンネル入り口のようです。この先は昼間なのに真っ暗。漆黒の闇です。恐ろしや。この川にまつわるおぞましい話が頭を過ぎります。


ゴルジュの中は木々は水面を完全に覆い、光が遮られ洞窟のように見えます。


漆黒のゴルジュ帯への回廊。正面が洞窟の入り口のように真っ暗で不気味です。一人では下りたくないです、違った意味でここは。


この区間は険悪な箇所はありません。クリークを楽しむならばやはりアッパーです。前述のラナパパがアッパーを攻略しています。


所々落ち込みがありますが、難度は高くありません。


一応核心部ということになっていますが、ここは特に問題ないと思います。


川相はプチクリークです。岩は出ていますが、翻弄される程ではありません。


今回は8人のツアー。引率は我らがヤラレンジャー。いつもご苦労さまです。楽しいツアーありがとうございました。


ゴール地点にて。お疲れ様でした。

2009年7月12日日曜日

真夏でも桧枝岐川(伊南川)はアドレナリン指数4!:Middle区間を再度攻略

枝岐川はやはり桃源郷でした。カヤッカーのエルドラドです。多くのカヤッカーに一度は足を運んで欲しい、本当に素晴らしい川です。6月21日に増水の桧枝岐川を漕行しましたが、力強く、圧倒的な川相と渓谷の美しさに心を囚われててしまいました。その後も毎週末御岳に足を運ぶものの、心はまさに遙かな尾瀬、気は此処にあらず。同じ気持ちを持ついつものメンバーを中心に今回再訪することになりました。


今回のリバーランニングのオムニバス版です。



最近いつも一緒の仲間達です。4人共激務の反動でしょうか??自然回帰志向が強いようです。



夏の渇水期はLowerは下れなさそうでした。しかしMiddleは全く問題なし。

より大きな地図で 伊南川(桧枝岐川) を表示

増水時にはS字ねじりの滝の1段目にある岩が完全に隠れていますが、今回は岩頭が50cm程見えています。本日のコンディションが夏の通常水位と思われます。


福島県、群馬県、新潟県の県境に位置する桧枝岐は、平家の落人伝説のある集落です。不思議な因習が今も残る村でもあります。人目につく鯉のぼりは立てず、吠えて居場所の分かる犬は飼わない。村内でしこりが残るので選挙は行わない。(2007年に44年ぶりの選挙が行われたそうです。)公に語られることさえない風習が今も営みを支配する村。民俗学的にも桧枝岐はとても深い場所なのです。こんな桧枝岐トリビアを、まるで遠足の事前学習のように予め風土を理解してから出撃した善男善女は: 紅一点の南極3号、へたっぴカヤッカー柿の種仙人そしてActonです。巷ではKCT:カエルクリークチームと呼ばれている噂のチームです。



水質は極上。透明度は特級。桧枝岐村は全国で一番人口密度が低く、下水道の普及率は100%で、全国一です。川には支流が滝となって流れており、景観も実に素晴らしいです。以下の写真からも透明感が伝わると思います。


前回は雪代を湛える春先の増水と変わらないコンディションでしたが、今回は前回よりも目視で50cm程度少ない水位でした。舘岩川合流地点より川上を目指していくと、前回よりも遙かに水位が低く一瞬不安が過ぎりましたが、Middle区間は心配無用でした。この区間は基本的に渓谷なので川幅が広くなるLower区間で水位が低くても、川幅が狭いMiddle区間は問題なく下れました。恐らくこの区間は通年漕行可能と思われます。



さて、川相ですが、水位が低くても難度は高く、山梨県桂川に勾配をつけて落ち込みを高く、ブラインドを適度に塗したような雰囲気でしょうか。増水時、平常水位と両方のコンディションで下りましたが、平常水位で桂川、那珂川上流那須地区より1ランク上の難度だと思います。特にS字ねじりの滝から2kmぐらいは落差が激しく、最後にドーンと落ちる瀬がが続きます。おまけにその殆どがブラインドになっていおり、決まって瀬の最後に大きな岩が鎮座してコースを難しくしています。瀬の殆どはドン、ドン、ドン、ドン、ドーーンといったリズムで、水位があれば豪快、平常水位ではリズミカルに下れます。

S字ねじりの滝の漕ぎ出しから難度の高い瀬が続きますが、中でもS字ねじりの滝の瀞場から2-3先にある瀬、最初に超える橋から200メートル程先にあるカエル飛びの瀬は要注意です。まさにドン、ドン、ドン、ドン、ドーーンと落ちていきます。この瀬の最後は約2メートル程度のドロップで、殆どの人がホールに捕捉されて最後にたて沈、撃沈という結末を迎えます。ここをクリーンクリアする成功率は前回も今回も高くありませんでした。

カエル飛びの瀬の最後の落ち込み。艇の長さから判断すると2mぐらいでしょうか。




S字ねじりの滝から2kmは本当に気が休まりません。普通の川なら立派な核心部にあたるような瀬が10個前後続いて、やっと一息つける区間に辿り着きます。ここからの区間が黄金の1マイルと呼ばれるエルドラドです。この1マイルを過ぎても前半ほどでは無いにしてもピリ辛の瀬がまだ続きます。そして小豆温泉を過ぎて堰堤の直前にまたもや核心部、イナズマドロップがあります。イナズマドロップは流れが急激に狭窄した細いルートに集中し、捻りを効かせたローラーコースターのように落差を伴いながらいっきに流れ込んでいる難関です。かなりのプレッシャー、恐怖心を煽られる区間です。二人ほど沈したものの、全員無事降下しました。今回は鱒滝まで下らずその手前500メートの堰堤でtake outしました。距離にして5Km程度の区間ですが、トラブルで手間取った訳ではないのですが4時間程かかりました。2度目のリバーランですが、やはりブラインドが多く、細かくエディーを取り、場合によってはスカウトしながら降下したからだと思いますが、トラブルがなくても距離の割にはこの区間の降下には時間がかかります。余裕をもってスタートされることをお薦めします。

さて、これで増水時と平常水位を下りましたが、迫力という点では増水時はアドレナリンレベルが相当高く、個人的には春先の増水時期が一番楽しいと思います。しかし平常水位でも十分テクニカルであり、エキサイティングな川です。十分な準備をしてチャレンジするか、桧枝岐川をコマーシャルベースで初めて開拓した、カエルアドベンチャーさんのようなアウトウィッターのツアーに参加することをお薦めします。

イナズマドロップの入り口です。落差があり、一気に2m程に流れが狭窄します。カエルアドベンチャーのツアーではここはポーテージです。コマーシャルベースのツアーではここは下らないと思います。


イナズマドロップ出口。実物は相当迫力ありますよ。もちろんポーテージ可能。


イナズマドロップの動画です。へやっぴカヤッカーが見えないU字溝に沿うかのごとく、流れに自然に乗り、上手くクリアしています。



IKは変形するので、スタックしやすく、岩に乗り上げて艇を弾かせることは難しいのですが、その気になれば飛びます。ブーフ!


S字ねじりの滝から2km程のテクニカルな瀬が終わると、突然桃源郷が。黄金の1マイル入り口で休憩。


ヘタッピカヤッカーさんもご満悦です。増水状態と通常水位、どちらがお好みだったのでしょうか。


すべて落葉樹です。秋が待ち遠しい。


黄金の1マイル。魚影が濃く、至る所に魚がいます。しかし釣り師には会いませんでした。


透明度の高さは特筆ものです。


柿の種仙人はこの区間初参戦。相当惚れ込まれたようです。


南極3号も楽しそうに下ってましたね。また行きましょう。


桧枝岐川のMiddleはいま一番お気に入りの川です。また戻ってくるぞ!!


遅い昼食は当地名物の裁ちそばを食しました。土地が痩せた所は蕎麦が名産であることが多く、米作ることの出来ない桧枝岐では昔から蕎麦作りが盛んでした。また、はっとうというそば粉を混ぜて作ったお餅が珍味です。あまりに美味しくて御法度から由来するとか。彼の地に出向いたならばぜひ裁ちそばを食べてください。



渇水を心配しての遠征でしたが、前述のようにMiddleコースの漕行には何の問題もありませんでした。今回で2度目のリバーランニングになりますが、桧枝岐川をポジショニングするとやはり小国玉川に近い印象を持っています。しかし瀬の難度は桧枝岐の方が小国玉川よりも高いと思います。首都圏から200km程の距離はありますが、恐らく我々はしばらくこちらの川に通うことになるでしょう。

2009年7月2日木曜日

伝説のエクストリームカヤッカー集団、七厘会キコリ氏降臨する!!

説のカヤッカー集団、七厘会。S字ねじりの滝を初降下した猛者達は、その偉業と共に七厘会の名は既に伝説となっています。七厘会のブログを読まなければ桧枝岐川を攻略しようなどという考えには及ばなかったと思います。本ブログでも何度も連呼させていただいた七厘会ですが、とうとう本日、本ブログに七厘会のキコリさんが降臨致しました。なんという名誉なことでしょう。キコリさんのコメントはこちらにあります。

七厘会は誤ってS字の滝を生身で落ちています。あの滝を生身で落ちるなど考えも及びません。生身で落ちて問題ないのでそのままカヤックで降下という具合です。ありえません。そんなエピソードに激笑しながら何度もブログをよまさせていただいておりました。ところが本日のキコリさんのコメントによるとあのMiddle区間を後日一人で下った際、スプレースカートなしで降下したそうです。それは絶対にありえません。そしてまたしても七厘会の伝説は一つ増えたのでした。凄い!