2010年10月27日水曜日

桧枝岐川じゃなければダメなんだ

枝岐村の冬は、深い雪に埋もれ白一色のモノトーンの世界が長く続きます。冬の前の一瞬のときめきが桧枝岐の紅葉なのです。山が燃えるような紅葉を川面から見上げ愛でることが出来るのは、パドラーだけの特権。そんな桧枝岐での秋のカヤックは特別なんです。









声出して行こう!と叫びながら漕ぐのは僕達だけかな。しかしそう叫んで気合を入れたくなる瀬やドロップの連続。桧枝岐川を下った人はわかりますよね、この気持ち。



桧枝岐川から見上げる空は色見本の様にくすみが全くない青。桧枝岐の山々は五分程の色付き。視界一杯に広がる落葉樹の森は、湯上りにほんのり染まる頬のような上品な色付きです。こんなコンディションでこの川を下れる僕達は幸せだな。気がつけば川面もカヤックの鮮やかな原色で紅葉しているようです。












激しい瀬の後は笑いが止まらないんです。

KodakのPlaysportはパドラーにも人気が高くなっているようです。POV(Point Of View)撮影用のヘルメットマウントを自作しました。オートバックスで売ってる自動車用の携帯ホールダーを装着するだけでOKです。












恒例のClass5の桧枝岐紅葉ツアー。メンバーはチームELFでお馴染み、才谷屋さん、OWLさん、テクニシャンカップルのWoodsさん、Mashiさん、桧枝岐を日本で一番漕いでいる女性、南極三号、かっ飛びヤリサさん、噂の滝飛びガールこと「ほりほり」さんです。































桧枝岐川に通って今年で2年。今まで下った中で今回は、水量は最低、難易度と天気が最高という組み合わせ。超悶絶のS字ねじりの滝下のプールでまずはウォームアップ。各自スイープから始まり、本日のコンディションを占うようにロールをしています。天地間逆になって見る川底は限りなく透明で、川の水は顔を突き刺すよう針のように冷たかったです。


漕ぎ始めるとなんとなく調子が悪いんです。しっくりしないパドリングを気にしていたら、漕ぎ出して2本目のブラインドで沈。一度も沈したことがない瀬。しかも今日は沈すると怪我するかもしれない、沈厳禁の日なのに。


結局その沈で、右手の筋を痛めたままミドルを下ることになりました。翌日は良くなったものの右手の痛みが消えないため、アッパーの戦線離脱。翌週の小国玉川に備えることにしました。


水が少ないので厳しい。


今まで一度も沈したことがない瀬で沈。当日は水が少ないので、沈が怪我の引き金になる可能性が高く、柳本さんからは沈厳禁の指示だったんですが...。この沈でブレースしている右手を引きずり、筋をのばしたようで、以後右手の力が半減。艇のコントロールが危うくなる。


いったい何艇クリーク艇積んでるんだろう?壮観。















食後は部屋に戻り、宴会。柳本さんとWoodsを除く残りの3人はオヤジ。

2010年10月18日月曜日

大芦川アッパー再び:東、西大芦川合流地点より降下

璃色の大芦川に2週間連続で出撃しました。今回は先週時間の制約で行けなかった東大芦川からの降下を予定していましたが、残念ながら水量が少なく東、西大芦川合流地点直下の字穴橋から巨大堰堤手前までの区間設定にしました。










































メンバーは若手のテクニシャンWoods夫妻と、半世紀の人生を背負う、お達者クラブ(?)のへたっぴカヤッカー、柿の種仙人、府中人、小生の6名です。Woods夫妻は初めての大芦川です。この夏に我々もお世話になったHOAで北海道のクリーキングをしてきたばかりのご夫妻からは、クリーキングした北海道の川と同じようだとの声。日本全国の川に精通するへたっぴカヤッカーからは四国のなんとかという川並みだとの驚嘆の声。小ぶりの川で大芦川程度の透明度を持つ川は関東にもありますが、まとまった水量を備えて泰然とした風格を持つ川はここだけでしょう。大芦川には渓流、鮎つりの雑誌、サイトでもブラフなしの賞賛が与えられてます。


























































さて今回の降下区間ですが、当日の水量(御幣岩橋56cm)では難易度高し。山梨県桂川のキャンプ場前の核心部クラスの瀬が続きます。瀬が堰堤のように水平線に切れている桧枝岐川のブラインドに比べてれば比較の対象になりませんが、瀬の落ち込みは大体ブラインドになっており大芦川アッパーは桂川よりもやっかいです。古峰原街道から見える川相はそれ程落差のないように見えますが、そんな事はありませんのでご注意を。


















































































今回は時間の制約で(お蕎麦屋さんが売り切れになる2時半前には撤収したかった。)、核心部等の写真を丁寧に撮影していません。スカウティングも堰堤一箇所で艇を降りましたが、エディーを細かく取って、すべてオンボートで休憩なしで下りました。そういえば、前回も殆ど休憩なしに下ったので、撮られたビデオ、写真は撮影できる余裕のある所だけです。険悪な箇所は無いとはいえ、リスクの高い川ですのでご注意ください。それから、大芦川はクリーク系の川ですので、距離のわりには時間がかかります。今回も8kmを下るのに、休憩、瀬遊び、オフボートのスカウティングなしにも関わらず4時間かかりました。個人的には字穴橋から西大芦川東生活改善センター(Class5のツアー出発点)までの区間で十分だったのではないかと考えております。



























































ラップの可能性もあり、又、途中の10mの堰堤では艇を対岸にロープ渡しするためにロープ、カラビナ等装備とロープワークをパーティーで事前に確認した方がいいと思います。我々は前回増水時にロープワークの練習不足が露呈して、ちょっとしたトラブルになってしまいました。大芦川は出来ればClass5のようなアウトフィッターにガイドしてもらうことをお勧めします。



















なお、大芦川のリバーランについては以下の記事が参考になると思います。

元やん
ラナパパ
いばさくさん
黒磯カヌークラブ
水戸カヌークラブ
へやっぴカヤッカー
柿の種仙人

2010年10月13日水曜日

大芦川アッパー初降下

で始まった10月の連休。カヤックは水遊びなので、雨は関係ないって言う達観した方もいますが、やはり天気は晴れた方がいいですよね。もちろん濡れる濡れないという点のみならば天候は関係ありませんが、それでもやっぱり晴れが一番。そして我々の前に一番がやってきました。


当日の水位は御幣岩橋で71cm。平常時が50cmですので20cm程の増水でした。











雨模様で始まった連休は、最終日には真っ青な秋晴れを迎えました。こんな素晴しい日を一緒に過ごした果報者は、Dohaから一時帰国しているリバーネームDOHAさん、連休初日に桧枝岐でクリーキングしたばかりのいばさくさん、いろんなところに顔を出す福島カヌー教会のおなじみ元やん、刺激が欲しい50代府中人、そして小生の男子5名のパーティーです。


クリーキングするような川のエディーは小さいので、大人数だとエディーに入りきれません。何かあった時のサポートを考えると3名ではなく、5名が適正人数だと常々思っていましたが、今回は後に5名で下って良かったと思えるハプニングがありました。










巨大堰堤直下のテトラポットの残骸を確認。











出撃先は栃木県大芦川。前日までの雨で増水していると目論み、未踏のアッパー攻略に向いました。雨の影響で川に濁りが入っているか心配しましたが、全くの杞憂でした。地元の人の話では雨後の濁りは半日、長くて一日で消えるそうです。元やんをして「小国玉川みたいだ...」。透き通るような薄い瑠璃色の水です。










大芦川は実に美しい川です。正直言って綺麗な川を沢山見ている方ですが、大芦川が別格なのは関東地方にあり、鹿沼インターから僅か30分の一級河川だということ。首都圏から100km圏内でこのクラスの川は他にないと思います。こんな綺麗な川でカヤックが出来るなんて、僕達はなんて幸せなんだろう。しかも今日は未踏のアッパーからの降下です。














スタート地点の瀬。











Class5の大芦川のツアーは廃校になった小学校にある西大芦生活改善センターをput in、7km程度下流の天王橋までですが、今回は西大芦生活改善センターからさらに5km程上流をスタート地点にしました。本当はまだまだ上流に行けそうでしたが、区間の難易度が全く不明だったのと午後2時までには撤収したかったので、とりあえず普段より5km程上流のガソリンスタンドをスタート地点にしました。
スタート直後の瀬でドカーン。いばさくさんの雄姿。














スタート直後はこんな感じの気持ちいい落ち込みが続きます。




















アッパー区間は緩急とドロップが程よくアレンジされたリズムのいい瀬で、飽きることがありません。スタート直後から瀬の最後がドーンという落ち込みです。そして小振りだがたった今下った瀬の興奮を落ち着かせるには十分なサイズのプールの後に、またロッキーな瀬が続きドーン。小さなエディーに集まるメンバーの笑顔、笑顔、笑顔。DOHAさんが満面の笑顔で笑ってます。いばさくさんの顔は崩れそうな笑顔です。元やんいつも笑顔で変わりません。府中人は淡々としていますが、目が笑ってます。僕の心は桃源郷に彷徨ってます。こんなに綺麗な川で、この水量、迫力。カヤックやっていて本当に良かったと思える瞬間。


クリークだけではなくて、所々にゴキゲンなウェーブもあります。写真は小生。





















この笑顔が全てを物語ってます。Put-inから1時間下って西大芦小学校前で休憩。オンボートでのスカウティングでも1時間かかりました。丁寧にスカウティングするとここまで1.5時間でしょうか。クリーキングは時間がかかります。



























本日のput inからClass5のスタート地点、西大芦東生活センターまでは1時間半程度で降下してきました。瀬は大体見えるので、スカウティングはオンボートで各自のラインで下りました。シーブなどの険悪な箇所も今回の区間はありませんでした。途中でいばさくさんが気に入ったホールを発見。深さもあり、かなりナイスなホールとのことでした。さっそくいばホールと命名。自宅から大芦川まで1時間程のいばさくさんは今後このいばホールを定点観測するそうなので、スポットのメッカになるかもしれませんね。


これがいばホール。写真は元やん。こんな綺麗な川でスポットが出来るなんて最高ですね。




DOHAさんもいばホールをクリーク艇で攻めます、攻めます。

いばさくさんは、いばホールでVertical movement。身軽だな。僕も練習しよっと。今度色々教えてくださいね。














西大芦東生活センターからは過去2回の降下に比較すると、水位があるので前回苦労した区間も比較的スムーズに下れました。













10メートル級の堰堤手前にに2-3メートルほどの小振りの堰堤が2基ありますが、2基目の堰堤下の落ち込みを伴った複雑な流れでDOHAさんはバランスを崩し、肩を損傷。その場でリタイアしました。クリークとは言え、桧枝岐と違って基本的にどこからでも道路に出られるので、この点は安心です。













その後の大きな堰堤を回避する為、対岸に艇を渡す際ロープワークで多少トラブりましたが、無事に通過。その後の核心部も全員無事クリアしました。全員満腹です。ごちそうさまでした。












さて、DOHAさんですが色々ありまして結局病院で手当を受けました。ハイブレースの際に手を持って行かれようで、亜脱臼という診断でした。病院に迎えに行き、廊下を笑顔で歩くDOHAさんを見て全員一安心。そのまま蕎麦屋に向かい、鹿沼名物にら蕎麦を食して解散しました。

















大芦川へ出撃される方へ: 天王橋をゴールに設定される場合が多いと思いますが、酒屋の反対側の敷地は私有地です。こころない人のゴミの放置で大変苦労されていると伺いました。車を駐める場合は一言声をかけて許可をいただいた方がいいでしょう。


今回降下した区間はシーブなどの険悪なポイントはありませんでしたが、落差のあるドロップ、ホール、難しい岩の配列とテトラの残骸が本流ど真ん中に鎮座している区間があり注意が必要です。堰堤も数箇所存在しています。2-3m程度の堰堤は飛び越えられますが、10mの堰堤は回避する必要があり、護岸した対岸まで川を渡る必要があります。当日の水量では歩いて対岸に渡るのは極めて難しい状況でした。またバランスを崩せば一気に高さ10mの堰堤まで流され、落下する危険もありました。


ロープ、カラビナなどのセーフティーギアは必ず必要です。対岸に艇、人を渡す際のロープワークについても事前にパーティーのメンバーで打ち合わせしておくべきです。当日は増水した瀬の轟音で対岸と意志の疎通が難しく、恥ずかしながらロープワークに手こずってしまいました。基本的な事ですので、しっかり事前にパーティーの中で確認すべきでした。


大芦川は素晴しい川です。出来るだけ多くの人に下っていただきたいのですが、今回の設定区間は危険箇所を伴うクリークですので装備を整え、この川を下ったことのある方かClass5のようなアウトフィッターにガイドしてもらうことをお勧めします。なお、いつも丁寧に川下りのレポートを書いているラナパパのブログにはリバーマップと10mの堰堤より下の区間の詳細がレポートされてます。参考まで。